職場や作業の写真と、確認済みの募集要項があれば、インタビューや作業風景の動画を新しく撮影しなくても採用動画は作れます。手元の写真に短い説明文を添え、休日や勤務時間はカレンダーや時刻の図で示します。スタッフや利用者の顔を出せない職場でも、手元や道具、後ろ姿の写真で組み立てることが可能です。小さな会社や店舗、事業所の採用担当者の方に向けて、架空の福祉事業所の横型30秒サンプルを例に、各場面の役割、準備する写真と募集情報のチェックリスト、費用の目安、公開前に見直したい注意点を紹介します。
最初に決めるのは、募集する仕事と見る人
会社紹介の資料をすべて短い動画に詰め込むより、まずは募集する職種を一つ決めて、その仕事内容が具体的に分かる写真を選びます。応募しようか迷っている求職者に見せるなら、「どんな作業をするか」「何時から何時まで働くか」「応募前に職場見学ができるか」といった疑問に答える構成にすると、自分の生活と照らし合わせやすくなります。
- 仕事の中身を写真と文字でつなぐ作業の手元や道具の写真に、その職種が担当する役割を短い言葉で添える。
- 働く条件を図で整理する「働きやすい職場です」といった抽象的な表現だけでなく、実際の勤務時間や休日の取り方をカレンダーや時刻の図で示す。
- 掲載先と長さを先に確認する自社の採用ページや求人サイト、SNSなど、動画を載せる媒体の仕様(横型・縦型、長さ、ファイル形式)を制作前に確かめる。
職場の雰囲気や人柄を紹介したい場合も、架空の先輩スタッフの体験談や口コミを作らず、実際に働く本人が確認した言葉や事実だけを使ってください。
なお、30秒という尺は今回紹介するサンプルの長さであり、すべての求人に適した決まりではありません。募集する職種や伝えたい条件が多い場合は、動画を60秒までに延ばすか、職種ごとに動画を分けて制作します。
顔を出さない横型30秒サンプルの場面と役割を見る
下の動画は「社会福祉法人しろつめ会」の自主制作サンプル(架空の社会福祉法人・事業所)です。神奈川県相模原市の就労継続支援B型事業所で生活支援員を募集する設定で作っていますが、実在する法人の募集ではなく、受注実績でもありません。
使用している映像はPexelsの素材映像であり、実際の職員や利用者の様子を記録したものではありません。また、動画内の休日数・勤務時間・給与・連絡先・QRコード・見学案内の表示もすべてサンプル上の架空設定であり、実際に応募や見学予約ができるサービスではありません。
時間を押すと、その場面から再生します(時刻は目安です)。
- 地域と事業所「神奈川県相模原市」「パンと手しごとの場」の文字を出し、働く場所と事業所の活動内容を最初の画面で伝える役割です。
- 手しごとの様子パン作りなどの手元の映像に、作業を支える仕事であるという説明を添え、募集する職種の立ち位置を示します。
- 作業を一語ずつ「わける」など、作業を表す短い言葉を手の動きに合わせます。実際の求人では、利用者の作業と生活支援員の業務を混同しないよう、職員が担う役割も説明します。
- 休日の条件夜勤なし・土日祝休み・年間休日120日という設定を、文字とカレンダーで示します。
- 前職の例複数の職種名を挙げて「未経験から始められる」という設定につなぎます。実際の募集では、必要な資格や経験の条件と照らし合わせて表現を決める場面です。
- 一日の流れ出勤、午前の作業、昼休み、午後の作業などを時刻の線に沿って並べ、断片的な場面の説明を「働く一日」のイメージに結び付けます。
- 募集要項と見学案内法人名・募集職種・勤務時間・休日・給与・連絡方法を一覧にまとめます。QRコードや見学案内は架空の設定で、実際の応募や予約には使えません。
このサンプルはPexelsの素材映像を使ったもので、写真10枚だけで作った実例でも、必要な募集情報をすべて備えた広告の完成見本でもありません。写真から作る場合は、作業の順番を複数の写真で示し、勤務時間や休日を図解で補います。枚数より、応募前の疑問に答える情報がそろっているかが重要です。
写真の選び方と、役割を伝える工夫
手元の写真を選ぶときは、同じ机や作業場を別の角度から何枚も並べるより、仕事の異なる場面をそろえます。現場の担当者にとっては見慣れた風景でも、初めて職場を見る求職者には「誰が・何をしている場面か」が伝わらないことがあるためです。
写真には「どの工程か」「募集する職種が何を担当するか」を一言添えてください。福祉事業所や店舗、工房などでは、お客様や利用者の作業と、スタッフの準備・支援・片付けを分けて説明すると、仕事内容が伝わりやすくなります。
もし手元の写真が足りない場合は、使用許可のある素材映像やイラスト・図解で補うことも可能です。ただし、素材映像や図解を使う場面が「実際の職場の記録写真」であるかのように見せないことが前提です。架空の生成画像や外部の素材を、自社の実際の設備や職場風景として誤認させる使い方は避けてください。
用意する写真10点の例と、募集情報のチェックリスト
次の写真10点は、当方が提案する準備リストの例です。必ず10枚すべてが必要という意味ではなく、同じような場面ばかりにならないようバランスよく選ぶための目安です。人物の顔が写らない写真でも構成できます。
- 建物の外観(周囲や看板が分かるもの)
- 職場の入口・玄関
- 作業する場所や室内の全体像
- 主な作業の手元
- 別の工程の手元
- 仕事で日常的に使う道具や設備
- 始業前の準備や終業後の片付けの様子
- 休憩場所や控室の様子
- 職員の後ろ姿など、本人の掲載了承を得た仕事風景
- 仕事の成果物や、一日の終わりの様子
写真とあわせて、依頼前に次の募集情報と条件をチェックリストで確認します。
- 募集主の名称・住所・連絡先、業務内容・就業場所・賃金(基本の6情報)
- 雇用形態、勤務時間、休憩時間、休日、応募に必要な資格や経験の有無
- 一日の業務の流れと、未経験の方が最初に取り組む仕事内容
- 応募や職場見学の受付方法、照合用の最新版の募集要項(求人票)
- 動画を公開する媒体、画面の向き(横型・縦型)、掲載先の動画仕様、使い始めたい日
- 写真やロゴを使う権利の確認、写っている人物の掲載了承、表示内容を最終確認する担当者
厚生労働省は、募集主の名称・住所・連絡先・業務内容・就業場所・賃金の6情報を、募集広告自体に表示するよう案内しています。募集情報のあるページへのリンクだけでは代えられません。動画を募集広告に使う際は、掲載先の仕様に合わせて必要な情報を示す方法を確認し、文字が小さすぎる場合は長さや構成を見直してください。
特に福祉や医療、教育などの職場では、本人の顔が写っていなくても、名札や持ち物、背景の掲示物などから個人が特定されないかまで事前に確認してください。
制作費の比較と、見積りでそろえる条件
採用動画の制作費は、社員インタビューなどの撮影を頼む場合と、自社で用意した写真や映像から編集を頼む場合で大きく異なります。公開されている記事にまとめられた費用相場を並べます。
| 制作内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 採用動画(社員インタビュー中心) 2〜5分・企画から納品まで | 30万〜100万円 |
| 会社紹介動画の編集のみ 素材は自社で用意 | 5万〜30万円 |
出典:動画制作の費用相場をまとめた公開記事の、種類別の目安(2026年11月閲覧)。内容によって幅があります。撮影範囲、修正回数、税の扱いは依頼先ごとに異なるため、正式な見積りで確認してください。
当方(yuon制作室)の料金は次のとおりです。現地での撮影には伺わず、お手元の写真と募集資料から制作します。
| 30秒までの動画1本 (15秒も基本範囲内) | 15,000円実績づくり価格。制作実績として掲載させていただける方・先着3名さま・2026年12月31日受付分まで。3名さまに達した時点で終了します。 |
|---|---|
| 掲載が難しい場合と受付終了後 | 28,000円30秒まで |
| 含まれるもの | 構成案・主な場面の静止画ラフ・テロップ・BGM・修正2回まで横型か縦型の1サイズをMP4で納品 |
| 縦型・横型の両方 | +8,000円 |
| AIナレーション(AI音声) | 30秒ごとに+3,000円 |
| 60秒までの延長 | +10,000円納期+約1週間 |
| 納期の目安 | 素材と募集情報がそろってから約2週間 |
表示価格がお支払いの総額です。適格請求書(インボイス)は発行できません。
制作は、写真と募集要項をもとに構成案を決め、主な場面の静止画ラフ、動画の初稿、修正(2回まで)の順に進めます。募集開始日から逆算し、現場のスタッフと採用担当者が確認する時間も確保してください。仕様やオプションの詳細はスタッフ募集の動画と料金およびオプションと料金をご覧ください。
公開前に見直す3つの失敗
1. 楽しそうな雰囲気だけで、具体的な仕事内容が分からない
職場の明るい雰囲気や交流風景だけを並べると、応募後に「想像していた業務と違った」という行き違いが起きやすくなります。日々の主な作業や使う道具、一日の時間の流れを具体的に入れてください。未経験者を募集する場合は、お客様や利用者の活動と、スタッフが担う業務がどう関係するのかも短い言葉で補います。
2. 古い給与や休日の条件のまま動画を公開し続ける
動画を公開する前には必ず最新の求人票と照らし合わせ、募集内容の変更や募集終了の際には動画の表示も見直します。厚生労働省の案内でも、募集情報を正確かつ最新の内容に保つことが求められています。年度替わりや条件改定で賃金・勤務時間・休日数が変わったときに、古い条件の動画が残らないよう管理担当者を決めておきます。
出典:厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ」、厚生労働省リーフレット(2026年11月閲覧)。
3. 顔を隠す加工をすれば、無断で写真を使ってよいと考える
モザイクやスタンプで顔を隠しているかどうかだけで判断せず、その写真を求人広告に使うこと自体について本人の了承を得ているかを確認します。了承を得にくい場合は無理に人物写真を使わず、作業の手元や道具、誰もいない作業場・休憩室の写真と、カレンダーや時刻の図解を組み合わせて説明する方法を選びます。